ルーン文字が刻まれた太古の巨石【ウェンゴヴォ/ポーランド】
ポーランド西部のスレフフ(Sulechów)から、ウェンゴヴォ(Łęgowo)という小さな村へ向かう途中に、うっそうと生い茂る森がある。
何の変哲もないどこにでもあるような風景なのだが、道路脇に何やら不自然な石が置かれている。
この石の横に、森の中にへと続く小道が。
車道から逸れて小道を100メートルほど進むと、そこに鎮座しているのだ。
謎に包まれた巨石が。
この巨石は、迷子石(漂石)と呼ばれるもので、大昔に氷河に乗ってここまで運ばれてきた。
が、いったいどこからやってきたかは謎のままだ。
石質は花崗岩で、高さは約2m、円周は最大で11mにもなるそうだ。
現在は天然記念物に指定されている。
この石の一部にはルーン文字らしきものが刻まれていた。
ルーン文字は、ラテン文字が普及する前に使われていた文字で、2~3世紀頃から使用されていたものだ。
わたしはルーン文字は一切解読できないので、ネットで情報を探してみたところ、ポーランド人が運営しているサイトに詳細が載っていた。
Eratyk z Łęgowa | Ścieżką w bok...
こちらのサイトによると、どうやらこれはスラヴ語のルーン文字で、「家族の哀れみ」「アスラフ(おそらくロシア系の名前)は眠ってしまった」と書いてあるらしく、このことから以前は墓石だったと推測されている。
というわけで、これが事実ならば、遠い遠い大昔にどこからか流れて来たこの石は、ここでかつてはアスラフ氏の墓石として利用されていたということになるのか。
ほんの少しだけ遺跡関連の仕事に携わったことのあるわたしは、この石にロマンを感じなくもない。
ちなみに、迷子石という言葉自体、あまり聞き慣れないとは思うが、特別珍しいというわけでもなく、世界各地で見ることができる。
ポーランドでは、北部、中央部に多いそうだ。
最後に余談。
ポーランドに限らず、森に入る時は虫よけスプレーは必須、できれば長袖長ズボンの着用をオススメしたい。
虫よけスプレーの効果を信じて、肌を露出して森を訪れてしまったわたしに言われたくないだろうが(帰宅後、身体中に数えきれないくらいの蚊に刺されを発見した)。
ポーランドの森には蚊以外にも、刺されると後遺症を負うこともあるマダニもいるので、みなさまもお気を付けください。
【行き方】
もはや特定の住所もなく、座標値を頼りにして行くしかない。公共交通機関を利用して訪れるのならば、最寄り駅はŁęgowo Sulechowskie(ウェンゴヴォ・スレホフスキエ)。小さな村の無人駅だが、そこから2.5kmほどのところにある。もしくは、Sulechów(スレフフ)からタクシーで行く手もある(約5km)。
【場所】
52°07’06.5″N 15°39’58.5″E
(最終訪問:2019年6月)