林の中のほのぼのメタルフェス【フリーザック/ドイツ】
まだ興奮冷めやらぬうちに、ここに記しておきたい。
先日、実に2年半ぶりにブラックメタルのライブに行った。
Under The Black Sun Festival 2022
コロナ発生以降、初のライブ参戦。
ポーランド国内では、最近はコロナ発生前と変わらないくらいライブやフェスティバルが戻ってきているが、なんとなく行く機会を逃していた。
今回、ようやく行ける機会に恵まれたので、ベルリンから西に車で1時間半ほどの町で開催されるフェスティバルの最終日に参加してきたのだ。
(旧東ドイツ地域ということで、このブログの趣旨からは外れていないはず……)
フリーザックは人口2500人ほどの町で、のんびりとした穏やかな風景が広がる。
のどかな景色の中に突然現れるキャンプサイト。
フェスは3日間続く上、まわりには簡単に行ける宿泊施設がないので、キャンプ組も多い。
道路を挟んだすぐ反対側が会場になっているが、キャンプサイトにもお酒などを売るお店があった模様。
キャンプ場の近くには羊みたいな動物がいた。
あまりにものどかである。
こちらが、会場前の道路。
会場入り口。
会場は林のような、木に囲まれた場所にある。
ビールスタンドやフードトラックも出ている。
ビールは1杯(400ml)€4だった。
カップのデポジット代は€1で、カップを返すとデポジット代が返ってくる仕組み。
ちなみにカップはこれ↑
エナジードリンク(€3)もフェス仕様。
メタル系レーベルやアクセサリーショップなども出店していた。
なかなかの賑わい!
実はこのフェスには2017年にも参加したのだが、その時は新しい会場になったばかりで何だかうまくオーガナイズされていない気がしたし、まぁ雨で寒かったこともあり、あまりテンションが上がらなかったのだが……
打って変わって、今年の最終日は晴天で暑くて、いかにも夏フェスらしさが滲み出ていて雰囲気も良かった。
クラッシュしたお尻ポケットをビールホルダー代わりにするお兄さん!これは便利!
会場についたのは夕方頃だったが、この時期のヨーロッパは夜21時過ぎても明るいので、まるで真昼の日差し。
以前から観たかったポーランドのブラックメタルバンド、Odium Humani Generisも観ることができた。
こちらは、ドイツのIllum Adoraというバンド。
初めて聴いたが、なかなかメロディックでカッコいい。
ボーカルが死んだネズミを十字架に磔にしたものをステージに持ち込んでおり、陰でポーランド人たちがぶつくさ言っていた(最終的にネズミを観客に向かって投げたらしい)。
もう数えきれないほど観ているけど何度観ても飽きない、ポーランドのArkona。
そして、一番観たかったジョージア(グルジア)出身のポスト/デプレッシブ・ブラックメタルPsychonaut 4!
このバンド、2017年にポーランドにツアーで来た時に、行く気満々で宿まで予約していたのに、現・旦那の家族が突然ぶっ倒れて物凄い大事になり、泣く泣く行くのを諦めた、そんな思い出深いバンドなのである。
もうね、泣いたよ本当に、あの時は。
そんなわけで、勝手に想いを募らせていたバンドをようやく観ることができ感無量。
彼らの出演は0時過ぎだったのだが、深夜の林の中で聴くデプレは素晴らしかった……
そういえばこのフェス、積極的にデプレ系のバンドを呼んでいるような……?
2017年には、フランスのNocturnal DepressionやデンマークのMake a Change... Kill Yourselfも出ており、他のブラックメタルバンドとは違うステージの雰囲気に圧倒された。
生で観るデプレって、どのバンドも世界観があまりに独特で、ついついステージに見入ってしまう魔力のようなものがある。
最後に少し会場の外の様子も。
フェス会場のまわりは閑静な住宅街。
ブラックメタルの絶叫がノイジーに響き渡り、静けさをぶち破っていた。
これが3日間深夜まで続くなんて、一般人にはあまりに酷じゃないか?と思ったが……
時間は21時過ぎだったと思うが、人が全然いなくて別世界に来た気分。
2年半、ポーランド国外にも出ていなかったので、久しぶりにポーランド語以外の外国語だらけの場所に行けて嬉しい。
たまに耳慣れない言葉が飛び交う場所に行くのは本当に楽しい。
ところで、今回のフェスで驚いたことのひとつ。
全てタイムライン通りに進んだこと。
お目当てのPsychonaut 4が演奏するのが0:10~だったわけだが、きっと押しに押して1:30くらいになるんじゃないだろうか、あー起きてられるかなーなんて不安は杞憂に終わった。
すごい、すごすぎる、驚くくらい時間通りだった。
そして、なんといっても、会場全体がほのぼのした雰囲気に包まれていた。
パッと見た感じ、無理に暴れまわったり、他人に迷惑をかける人もいなかったし、人が多すぎないのでどのバンドも快適に観られた。
ブラックメタル英才教育を受けてきたんだろうなという感じの3歳くらいの子どもが肩車されてメロイックサインを振りかざしていたり、一生懸命ヘドバンする女性を少し離れたところで笑顔で見守る女性がいたり、おじさん同士が肩を組んで仲良くステージを観ていたり、なんだか久しぶりに目にするそんな光景に、つい目頭が熱くなってしまったのである。
メタルフェスといえば、以前紹介したウクライナのこちらのフェスも、かなりほのぼのしていて楽しい。
maniaceasterneurope.hatenablog.com
こんな状況になってしまった今となっては、次はいつ開催されるか分からないけれど、いつか絶対にまた行きたいと思うフェスのひとつだ。
【行き方】
会場はフリーザック(Friesack)という小さな町にある野外イベント会場。会場から4kmほどのところにフリーザック駅があるのだが、調べたところ、ベルリン中央駅からも電車が出ている。停車駅はたったの6駅、しかも50分強で着くようだ。ベルリンから車で行くより早いじゃねーか。今回は、金曜日と土曜日の最終バンド演奏後に、ベルリンのシュパンダウ区行きのシャトルバスが出ていたらしい。なお、会場はもしかしたら突然変わったりするかもしれないので(2017年の時のように……)、行かれる方はぜひこまめにサイトをチェックしてみてください。
【ウェブサイト】
【場所】
Vietznitzer Str. 14, 14662 Friesack, ドイツ
(最終訪問:2022年7月)