東欧マニアックガイド

これまで訪れた東欧圏のちょっとマニアックな場所を紹介しています。

1万年前~中世までの暮らしが覗ける、古代遺跡ビスクピン【ビスクピン/ポーランド】

ポーランドには、ビスクピン遺跡という、約1万年前~中世までの集落や建物を再現した古代遺跡の野外博物館がある。 ここで発見された青銅器・鉄器時代の集落は、ポーランド国内ではもちろん、ヨーロッパにおける考古学上でも重要なものだそうだ。 日本にいた…

林の中のほのぼのメタルフェス【フリーザック/ドイツ】

まだ興奮冷めやらぬうちに、ここに記しておきたい。 先日、実に2年半ぶりにブラックメタルのライブに行った。 Under The Black Sun Festival 2022 コロナ発生以降、初のライブ参戦。 ポーランド国内では、最近はコロナ発生前と変わらないくらいライブやフェ…

キシナウ散歩【キシナウ/モルドバ】

今までに、アクセス糞悪カルトなムードのデコラティブ修道院、見学者がいないと節電で部屋が真っ暗だけど見応えのある軍事博物館、おじいさんの修道士が孤独に修行する絶景岩窟修道院など、モルドバの魅力を自分なりに紹介してきたつもりである。 しかし、モ…

昔の暮らしを垣間見ることができる野外博物館【オフラ/ポーランド】

今回は、ポーランド西部の村にある、野外博物館を紹介しようと思う。 その博物館は、ジェロナ・グラから7キロほど離れた、オフラという地区にある。 17~19世紀の人々の生活を垣間見ることができる民族博物館だ。 入場料は訪れた2021年3月の現時点で10PLN。 …

かつての賑わいは遠い彼方へ……ゴーストタウンと化したウエスタン村【コシン/ポーランド】

ウエスタン村。 この言葉を聞くと、2006年に休園になったまま放置され続けている、日光のウエスタン村が頭に浮かぶ。 行ったことはなくても、廃墟好きなら気になる場所のひとつではないだろうか。 そして、ここポーランドにも、かつてウエスタン村が存在した…

マフィアが闇取引していそうな港のライブハウス【グダンスク/ポーランド】

ポーランド北部に位置し、観光地としても人気の都市、グダンスク(Gdańsk)。 バルト海に面し、古くは自由都市として繁栄し、1980年代には民主化運動を率いた「連帯」が生まれた地でもある。 そんな歴史ある港湾都市グダンスクでは、実に素敵な場所にライブ…

世界中の悪魔が大集結する博物館【カウナス/リトアニア】

リトアニア第二の都市カウナスには、「悪魔博物館」なるものが存在する。 ブラックメタル好きとしては、こうしたダークなモチーフの博物館が気になって仕方ない。 ということで、以前こちらのブログでも紹介したリトアニアの十字架の丘に行ったついでに、カ…

ひなびた公園と地元民御用達の掘っ立て小屋バー【ハルキウ/ウクライナ】

以前、ウクライナのハルキウという都市で、メタルフェスティバルに訪れた時のことを記事にした。 maniaceasterneurope.hatenablog.com WackenやHellfestといった超巨大有名フェスとは違って、かなりのんびりしたフェスで、会場も便利な街中にあるのが嬉しい…

老修道士が孤独に修行する、小さな村の岩窟修道院【ブトゥチェニ/モルドバ】

これまでも当ブログでは、モルドバのデコラティブな修道院や、首都キシナウのやたらと広い軍事博物館を紹介してきた。 しかし、やはり、何と言っても。 モルドバで一番有名な観光スポットはここだろう。 そう、岩窟修道院である。 キシナウから50kmほど離れ…

戦争で燃えた宮殿。5億円で蘇る侯爵夫人の理想郷【ザトニエ/ポーランド】

その廃宮殿は、ポーランド西部のザトニエ(Zatonie)という村にある。 宮殿が建てられたのは17世紀末のこと。 当時この地域の領主だったドイツ人貴族によって、バロック様式の宮殿が生まれた。 平日の午前中。 宮殿のまわりはひっそりとしていたが、散歩して…

エルデネト最後の朝、雪にかすむ旧共産圏モニュメント【エルデネト/モンゴル】

不思議なロシア人おじさんと過ごした一日が好評を博した(?)モンゴルのエルデネト滞在記。 こちらが最終章、というかおまけになります。 今までのエルデネト旅行記をまだ読んでいないという方は、まずはこちらをどうぞ。 maniaceasterneurope.hatenablog.c…

未承認国家の日常風景(後編)【ティラスポリ/沿ドニエストル共和国】

以前、未承認国家・沿ドニエストル共和国のティラスポリの様子を紹介した。 今回の記事は、その後編である。 (前編はこちら。未読の方はぜひどうぞ) maniaceasterneurope.hatenablog.com さて、想像していた「未承認国家」のイメージとは全く異なり、あま…

世界一のキリストは平凡な街にいた【シフィエボジン/ポーランド】

以前、ポーランドの田舎にある、世界一高いキリスト像を紹介した。 maniaceasterneurope.hatenablog.com この記事で、キリスト像がいかに何もない辺鄙な場所に突っ立っているかを書いたが、今回はこの像がある街について紹介しようと思う。 シフィエボジン(…

未承認国家の日常風景(前編)【ティラスポリ/沿ドニエストル共和国】

わたしは今まで、国際的に国家として承認されている国にしか住んだことがない。 それまで訪れた国も、きちんと国家として認められた場所ばかりだった。 承認されていない国とは一体どんな様子で、どんな人が暮らしているのだろう。 誰もが一度は思うのではな…

どこまでも続くコンテナ。葬られた貨物列車【チェルビエンスク/ポーランド】

8月の天気の良い日、廃列車を見に行くことになった。 その廃列車は、田舎町の線路に長年放置されているらしい。 我が家からバイクで走ること数十分。 やってきたのは、チェルビエンスク(Czerwieńsk)という小さな町だ。 チェルビエンスク駅から西に少し進ん…

チェコの地方都市と場末のライブハウス【ボフミーン、カルヴィナー/チェコ】

今回は2014年の古い思い出を引っ張り出してみようと思う。 かつて、わたしはFuriaというポーランドのブラックメタルバンドにドハマリしていた。 一度ハマると、それしか考えられなくなるたちなので、仕事を辞めて家を引き払って彼らのポーランド国内ツアーを…

リトアニアの巡礼地。おびただしい数の十字架が建つ丘【シャウレイ/リトアニア】

2015年のまだ寒い3月下旬、なんとなく気になっていたリトアニアを訪れた。 その頃、ポーランドで絶賛ニート中だったわたしは、少しだけ冒険をしたい気分になって、隣国まで足を運ぶことにしたのだ。 訪れたのは、首都のヴィリニュス、第二の都市カウナス、そ…

ナチグッズからソ連の品、さらにはガラクタまでもが並ぶ巨大蚤の市【キエフ/ウクライナ】

支離滅裂な品揃え、どこまでも果てしなく続く露店、線路ギリギリを歩く人々…… ただぶらぶらするだけでも楽しい場所、それがキエフの蚤の市。 キエフに行ったら、ぜひ訪れて欲しい場所のひとつである。 行くならば午前中に限る。 午後になると店じまいする店…

緑に浸食されたドイツ人墓地【チシェビエフフ/ポーランド】

このブログには度々、西ポーランドの誰も特に気にかけないような田舎の村が出てくる。 読者の皆さんの中には、「なんでわざわざこんなところへ……?」と思っている方もいるかもしれない。 別にこれといった理由などなく、それは単に、わたしが西ポーランドの…

さよなら、犬とおじさん【エルデネト/モンゴル】

2回連続で続いたモンゴル旅行記の続きです。 未読の方はまずはこちらをどうぞ。 maniaceasterneurope.hatenablog.com maniaceasterneurope.hatenablog.com 一人で入るにはちょっと勇気のいるこぢんまりとしたガチ食堂に連れてってくれたおじさん。 これがモ…

知らないおじさんと山頂でおまじないをする話【エルデネト/モンゴル】

前回のモンゴル旅行記の続きです。 未読の方はまずはこちらをどうぞ。 maniaceasterneurope.hatenablog.com 宿が確保できてほっと一安心したため、お腹は全く減っていなかったが、19時頃に夜のエルデネト散策へ。 旧共産圏らしい良い雰囲気の集合住宅。エル…

予約してったホテルがまるで廃墟だった件【エルデネト/モンゴル】

時は2013年にさかのぼる。 当時東京に住んでいたわたしは、年に一度の海外旅行を楽しみに、週7労働に耐え忍んでいた。 その年の秋、いつものように旧共産圏の香りが感じられる国を探し求めてわたしが訪れたのは、ポーランドでもウクライナでもロシアでもなく…

ウクライナの秘宝館?!世界の性文化の科学教育博物館【ハルキウ/ウクライナ】

ロシアの国境にほど近い、ウクライナ北東部の都市ハルキウ。 かつて、産業革命で栄華を誇り、現在は良質なブラックメタルバンドを輩出しまくっている、ウクライナで2番目に大きな都市である。 昨年、ハルキウを訪れるにあたり、Googleマップとにらめっこをし…

工業都市につくられた炭鉱労働者のための集合住宅【ニキショヴィエツ/ポーランド】

ポーランド南部のシロンスク県は、炭坑業が盛んなポーランドの工業都市である。 中でもニキショヴィエツ(Nikiszowiec)というカトヴィツェ近郊の街は、炭坑労働者のために作られた集合住宅で有名だ。 ニキショヴィエツの街は、1908年~1918年の間にドイツ人…

まるでソ連のテーマパーク!?社会主義建築の宝庫のような都市【ミンスク/ベラルーシ】

ロシアの左下、ウクライナの真上、ポーランドの右上に位置する国、ベラルーシ。 東欧圏に興味のない人にはあまり耳慣れない国かもしれないが、1994年から現在までずっと同じ人物が大統領として君臨していたり、ヨーロッパで唯一死刑制度が残っていたりと、ち…

謎のモニュメントだらけのアート公園【キエフ/ウクライナ】

キエフのとある地下鉄駅で、どの電車に乗るか迷っていた時、「何かお困りですか」と若い男子が声をかけてきた。 見た感じ、大学生くらいだろうか。 「〇〇に行きたいんですけど……」というと、彼は突然「じゃあ僕が案内するよ!」と元気いっぱいにガイドを申…

ルーン文字が刻まれた太古の巨石【ウェンゴヴォ/ポーランド】

ポーランド西部のスレフフ(Sulechów)から、ウェンゴヴォ(Łęgowo)という小さな村へ向かう途中に、うっそうと生い茂る森がある。 何の変哲もないどこにでもあるような風景なのだが、道路脇に何やら不自然な石が置かれている。 この石の横に、森の中にへと…

廃工場で開催されるウクライナ随一のメタルフェス【ハルキウ/ウクライナ】

今回の記事は、完全に筆者の趣味丸出しの内容である、ということを先にお断りしておく。 さて、ウクライナの北東部には、ハルキウ(ロシア語ではハリコフ)という都市がある。 日本人にはあまり馴染みがないが、ウクライナではキエフに次いで人口が多い都市…

ポーランド人民共和国の魅力を伝える共産博物館【ワルシャワ/ポーランド】

1989年までソ連の衛星国という立場にあり、共産主義国家だったポーランド。 ワルシャワには、そんな当時の人々の生活を垣間見ることができる博物館がある。 その名もCzar PRL(ポーランド人民共和国の魅力)。 場所はワルシャワ中心部。 KFCも入っている重厚…

チェーホフの小説から名前をとった精神病院バーПалата №6【キエフ/ウクライナ】

ロシアの作家、アントン・チェーホフの作品に『六号室(Палата №6)』という短編小説がある。 田舎の精神病院を舞台にした小説なのだが、ウクライナのキエフに、その小説から名前をとった「Палата №6」というバーがあると知った。 店内は精神病院をイメージ…