想像以上に広い、迷宮のような軍事博物館【キシナウ/モルドバ】
モルドバの首都キシナウは小さな都市だが、見ごたえ抜群の軍事博物館がある。
その博物館は、キシナウ市内の静かな通りにひっそりとたたずんでいた。
少し地味な入口。最初は気付かず通り過ぎてしまった。
入り口をくぐると、まず惜しみなく展示される野砲や戦車に圧倒される。
野外の展示物の見学は無料。
いざ、建物の内部に入り、料金を払おうとしたら、そのまま通してくれた。
図らずも、チケット代も撮影代もかからず、無料で入ることができたのである。
他の方のブログ記事などを見ると、チケット代で10レイ、写真撮影代として10レイがかかったという表記もあったので、この日は偶然無料開放日だったのかもしれない(日曜日だった)。
入り口は1階だが、まずは階段を上って2階へ。
2階の展示から見て回るようになっている。
見学者はわたし一人のみだった。
博物館の職員さんが距離を置いてずっと後ろからついてくるのが少し気まずい。
モルドバの博物館は、経費削減のためなのか、見学者がいない部屋の電気を消していることが多かった。
見学者が部屋に入る少し前のタイミングで電気を点けてくれる節電スタイルをとっている。
モルダビア・ソビエト社会主義共和国としてソ連の構成国となっていたモルドバが、ソ連からの独立を宣言した時の写真。
鎌とハンマー付きの当時の国章を、国会議事堂から撤去している。
なお、この国章は沿ドニエストル共和国で今なお使われているそうだ。
このゾーンは、確かトランスニストリア戦争時代。
モルドバ共和国と、現在も未承認国家とされている沿ドニエストル共和国との間で、1992年に勃発した武力衝突だ。
1986年、ソ連の支配下にあったウクライナで起きた、チェルノブイリ原発事故に関するコーナー。
当時はモルドバもソ連の支配下にあったため、除染活動に関わっていたのだろうか。
狭い小部屋だが、手の込んだ展示になっており、ウクライナのキエフにあるチェルノブイリ博物館を彷彿とさせた。
もう終わりかと思いきや、展示はまだ続いていた。ここからはソ連による占領時代の展示が始まる。
時系列が前後しているのが気になったが、どうやらこのコーナーは後からできたものらしい。
堂々たるレーニン像。
ここからは窓の無い地下のようなエリアなので、重苦しい空気が漂う。
取り調べ室再現シーン。
NKVDの監視の下、強制労働をさせられる女性たち。
おそらくシベリア送りにされた人たちの様子が、マネキンと壁画を駆使した2D×3D二刀流で再現されている。
最後の方は、レーニンのオンパレードで終わる。
ソ連に苦しめられてきた人々のトラウマがレーニンに反映されているのかのように、そこらじゅうにレーニンがいる。
この博物館、想像以上に広かった。
もう終わりかな?と思うと、スパイのように後ろからついてくる職員さんが「まだそっちにも展示があるよ」と教えてくれる。
わたしが訪れた時は、人も少なくじっくりと見学することができた。
とても興味深い博物館ではあるのだが、館内には英語表記がほぼ無かったと記憶している。
それが少し残念な気がしなくもないが、こういう時は現地語ができない自分が悪いのだと思うことにしている。
【行き方】
割とキシナウの街の中心部にあるので、アクセスは良い。キシナウ駅からは約1.8km。プチ凱旋門からは約1.5km。
【場所】
Strada Tighina 47, Chișinău, モルドバ
【最終訪問:2018年9月】