チェコの地方都市と場末のライブハウス【ボフミーン、カルヴィナー/チェコ】
今回は2014年の古い思い出を引っ張り出してみようと思う。
かつて、わたしはFuriaというポーランドのブラックメタルバンドにドハマリしていた。
一度ハマると、それしか考えられなくなるたちなので、仕事を辞めて家を引き払って彼らのポーランド国内ツアーを全通したことがある。
その国内ツアーの1週間後に、チェコの地方都市でもライブをやるということで、のこのこ観に行った時の話である。
さて、チェコでのライブ開催地は、カルヴィナー(Karviná)という人口5万人ほどの小さな街だった。
その当時、Furiaの出身地であるカトヴィツェ(Katowice)に滞在していたわたし。
カトヴィツェはポーランド南部の都市で、チェコのカルヴィナーまで70kmほどだ。
バスでの行き方がよく分からなかったので、途中で乗り換えはあるものの、電車で行くことに決めた。
カトヴィツェからカルヴィナーまで電車で行くには、途中ボフミーン(Bohumín)という街で乗り換えなくてはならない。
こちらはカルヴィナーよりさらに規模が小さく、人口2万人ほどの街だ。
乗り換え時間がそれなりにあったので、とりあえず街を散策する。
こちらがボフミーン駅。
駅構内。ガタガタの階段と落書きがポイント高い。
おそらくボフミーンの目抜き通り。
この通りに色々な店が集まっていた。
どんよりとした曇り空だが、旧共産圏的建物に良く合う。
この建物も、煤けた壁がいい味を醸し出している。
日中だが、あまりひとけがなかった。
何故か教会の前には国連(?)の装甲車。
駅まで戻り、繁華街とは別方向に歩いてみる。
こちら側には特に何も無かった。
なんでこんな写真を撮ったのかも覚えていない。
電車の時間が迫ってきたので駅に戻り、ローカル線でカルヴィナーに向かう。
ボフミンからカルヴィナーまでは20kmくらいなので、あっという間に着いた。
カルヴィナー駅。
思いのほかこぢんまりとした駅舎。
駅前にはショッピングモールがあった。
とりあえずモール内で食事をして、ライブハウスまで歩いていくことに。
ライブハウスは駅から3kmほど。
特に目を引くものもない大通りをひたすら歩く。
余談だが、当時のわたしはSIMフリーのスマホを持っていなかった。
”Wi-fi無し=インターネットが使えない=外で地図を見たり調べものをすることができない”
という構図が出来上がるため、この頃はWi-fiがある場所であらかじめせっせと目的地付近の地図をスクショしていた。
そして、現地に着いたら、そのスクショ地図を見ながら目的地へと向かっていたのだ。
スマホという文明の利器を持っていながら、地球の●き方を頼りにアナログに旅行しているようなもんである。
故に、この時もインターネットが使えなかったので、部分的に撮った地図のスクショだけが頼りだった。
こちらが会場のHard Cafe。
店名にCafeとついているが、バーである。
同じ建物内にイギリス資本のスーパーTESCOが入っており、幸いTESCOの無料Wi-Fiを拾うことに成功。
これが会場内部。
割と広めではあるものの、そこはかとなく場末のライブハウス感が漂っている。
お目当てのFuria。
ライブの合間合間に知らないチェコ人に絡まれ、一緒にビールを飲んだりしていたのだが、その中の一人のおっさんがテーブルで吐いたのでドン引きしているうちにライブは終わった。
ライブが終わる頃には、客はかなり少なかった気がする。
というか、最初から最後まで客が少なく、会場にいるのは出演バンドのメンバー、いわゆる身内がほとんどなのではと思うくらいだった。
トリのバンドが演奏していても会場はガラガラで、のんびり観られたのは良いが、なんとなくいたたまれない気分になったのを覚えている。
当時は、週末なのになぜこんなに客が少ないんだろうと甚だ疑問だったが、今考えると客入りが悪いのも当たり前ではある。
カルヴィナーという街は、そもそも人口が5万人台。
チェコよりもブラックメタルが栄えている国ポーランドで、人口2万人の小さな町で何度かブラックメタルのライブを観たことがあるが、もう完全に身内しかいない状態で、ライブハウスで開催されたプライベートパーティーに来たような感覚に陥った。
いずれにしても、客の少なさといい、小さな街特有のライブハウスの場末感といい、そのローカルっぽさ自体も楽しいので、こういうライブも好きである。
チェコでのこのライブでも、「パンクの方が好き」というお兄さんが観に来ていたが、彼のように「お、今夜あのバーでライブやるみたいだからとりあえず行ってみるか」的なノリで来るお客さんもいたりするのがこれまた面白い。
ちなみにこの後、訳あって駅のベンチで野宿することになるのだが、試しにその話をメインに書いてみたら、まるで危険旅を自慢しているような記事になってしまい、自分に腹が立ってきたので触れないことにした。
(最終訪問:2014年11月)