東欧マニアックガイド

これまで訪れた東欧圏のちょっとマニアックな場所を紹介しています。

戦争で燃えた宮殿。5億円で蘇る侯爵夫人の理想郷【ザトニエ/ポーランド】

その廃宮殿は、ポーランド西部のザトニエ(Zatonie)という村にある。

 

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宮殿が建てられたのは17世紀末のこと。

当時この地域の領主だったドイツ人貴族によって、バロック様式の宮殿が生まれた。

  

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平日の午前中。

宮殿のまわりはひっそりとしていたが、散歩している人もちらほら。

 

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朽ちた建物の抜けた窓から見える青空って良いよなぁ……

 

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宮殿内部から見た入り口。

 

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この宮殿を建てた一族が途絶えた後、建物は売却され、また別の貴族の手に渡った。

その後も数々の貴族がここに住むことになったが、1842年に当時の所有者だった侯爵夫人によって、古典主義的なスタイルに改装される。

この時、2階建てだった宮殿に1階分が付け加えられ、3階建てになったらしい。

 

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 1945年、ソ連軍によって、宮殿は炎に包まれ、完全なる廃墟と化してしまった。

その後ずっと放置されていたが、後に隣接する公園とともに修築され、2018年からは単なる廃墟ではなく、誰でも安全に訪れることのできる場所となった(しかも見学は無料!)。

なお、この修築プロジェクトには、日本円に換算すると総額約5億円近くが投じられたらしい。

マジか、すごいな。

ちなみに、資金の多くはEUからの助成金によるものだとか。

 

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この壮麗な白い建物は、もともとは温室として使われていたらしい。

先述した1842年の改装に伴い建設されたという。

どうやら朽ちていた建物を美しく再現したとのこと。

中はカフェになっていたが、わたしが訪れた午前中は営業していなかった。

 

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宮殿の前には農家らしき古い家。

入り口に猫がいた。

 

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隣接する公園はなかなかの広さ。

しかし、きちんと小綺麗にメンテナンスされている。

 

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その昔、この公園をデザインしたのは、ドイツの建築家だったらしい。

 

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小高い丘の上には見晴台的なものがある。

 

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その丘の上からの眺め。

 

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また、この宮殿の駐車場の近くにも建物跡のようなものがある。

ほとんど原型をとどめていないものの、どうやらこれは14世紀に建てられた礼拝堂だそうだ。

 

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しかし、廃墟の中は悲しいくらいにゴミだらけ。

宮殿や公園と違って、こちらは誰も管理していないのだろうか。

 

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出入り口。

 

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きっと度々ここで宴会が行われているのだろう……

アルコールの空き缶、空き瓶、お菓子の空き袋などが散乱していた。

こういうところに物を捨てるんじゃないよ。

 

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建物横には墓石のようなものが粗大ごみのように乱雑に放置されていた。

 

 

【行き方】

ジェロナ・グラ駅からバスで40分ほど。最寄のバス停は「Zatonie Parkowa」。バスを降りたら宮殿までは歩いてすぐ。

【場所】

Zielonogórska 48A, 66-004 Zatonie

(最終訪問:2021年3月)