笑顔のガイドさんが気になる。ギネスに登録されているトイレ歴史博物館【キエフ/ウクライナ】
そのひとつが、トイレ歴史博物館(Музей історії туалету)。
そう、トイレ。便所の博物館である。
地下鉄Klovska駅で降り、緑に囲まれた坂道を登っていく。
坂の途中に、ソ連らしいレリーフが施された図書館があった。こういうレリーフを見ると、東欧に来た実感が湧いて嬉しくなる。
図書館も超えてさらに道なりに進むと、要塞のようなレンガ作りの建物が見えてくる。
建物の外観写真が無くて申し訳ないのだが、オフィスなどが入ったその建物の一角に博物館がある。
キエフのトイレ歴史博物館は、2007年に私設博物館として誕生した。
世界一のコレクションを誇るトイレ博物館として、ギネス世界記録にも登録されているそうだ。
わたしが訪れた時は、入場料は50UAHだった(当時のレートで約200円強)。
愛想の良い受付のおばさんからチケットを受け取って、いざ展示室に入ろうとすると……
怪しいくらいに笑顔を絶やさない男性が話しかけてきた。
東欧の人にしては珍しいくらいニコニコ話しかけてくるので怪しんでしまったのだが、彼はこの博物館のガイドさんだった。
そしてこのガイド、無料である。
むしろ頼んでいないのに、突然現れる。
入場料も安い上、写真撮影も無料、ガイドも無料だとは。
ちなみに、彼はロシア語も英語も話せるようだ(すみません、ウクライナ語はどうだったか覚えていない)。
他に見学者もおらず、マンツーマンガイドツアーが始まった。
館内には、古代~現代までのトイレの歴史や、トイレにまつわるものが展示されている。
こちらは中世ヨーロッパ時代のコーナー。
この頃は排泄物をそこら中にぶん投げていた時代。
そりゃペストも流行するわな。
トイレギロチンや、どこかのオヤジが蓋に貼りつけられたユニークなトイレも。
これによって何かを表現したのだろうが、それが何なのかは知らない。
他には日本のTOTOのトイレも展示されていた、さすがだ。
ドラ〇もんやクレヨンし〇ちゃんのマスコット。ド〇えもんが便器の上で楽しそうにしていて可愛い。
最後は、スクリーンのある真っ暗な小部屋に通される。
椅子に腰かけると、トイレにまつわる様々な映像が次から次へと流れ始めた。
観客はわたし一人。
正直途中で飽きてしまったのだが、出るに出られず。
いつまで続くのかも分からないけど、最後まで観なければいけない気がして、半ば意地で観続けた。
上映時間は15~20分程度だったろうか。
自分はいったいここで一人で何をしているんだろう、何を見せられているんだろうと、あまりにシュールな状況が気になって、内容はよく覚えてない。
上映が終わると、さっきのガイドさんが部屋に入ってきて電気を点けてくれた。
「やっと解放された」というのが本音だった。
帰りに、受付横にある小さなお土産コーナーを覗く。
愛想の良い受付のおばさんと、さっきのガイドさんが、いくつか商品をオススメしてくれた。
ガイドさんは、水が飛び出すトイレのおもちゃを、やはり笑顔で生き生きと説明してくれた。
この仕事が楽しくて仕方ないというのが伝わってきて、なんだかうらやましい。
わたしはこの質素で重厚感漂う(?)トイレキーホルダーを購入。55UAHだったので、この博物館の入場料とほぼ変わらない。
館内はあまり広くは無いのだが、所狭しと並んだトイレコレクションは圧巻。
最初はもっとふざけた博物館なのかと思っていたが、きちんと古代~現代までのトイレの歴史についても展示されており、意外にもアカデミックな印象も受けた。
そして、あのガイドのおじさんが忘れられない。
今日もきっと笑顔でトイレの説明をしているのだろう。
【行き方】
地下鉄Klovska駅から500m。坂道を道なりに歩いていくと、右手に煉瓦作りの立派な建物が見えてくる。そこの一角が博物館になっている。
【ウェブサイト】
【場所】
Рибальська вул, 22, Kyiv, ウクライナ
(最終訪問:2019年5月)