世界一のキリストは平凡な街にいた【シフィエボジン/ポーランド】
以前、ポーランドの田舎にある、世界一高いキリスト像を紹介した。
maniaceasterneurope.hatenablog.com
この記事で、キリスト像がいかに何もない辺鄙な場所に突っ立っているかを書いたが、今回はこの像がある街について紹介しようと思う。
シフィエボジン(Świebodzin)の辺りには、旧石器時代から人が住んでおり、集落も存在した。
街の存在が文献で触れられたのは13世紀あたり。
ポーランド西部に位置するため、かつてはドイツの領土だったりもした。
15~16世紀はビールの製造でも栄えていたとか。
そうなの?近くに住んでるのに全然知らなかったと思って調べてみたら、今でも一軒だけビール醸造所があるらしい。
そこで働きてぇ。
なお、現在は人口2万人ほどの小さな街だ。
まずは、賛否が分かれるあの巨大キリスト像建立の発起人となった神父が牛耳っていた教会へ行ってみよう。
キリスト像から街の中心へと700メートルほど進むと、右手に見えてくるのがその教会。
中に入ってみると、まずその煌びやかさに驚く。
装飾度合いがなかなか激しいというか、なんともデコラティブ。
色の配色も深紅にゴールドだったりしてどぎつめ。
ちょっと新興宗教みすら感じてしまう壁画も。
平日の昼下がり、わたし以外に人はいなかった。
さて、さらに歩いて街の中心に。
こちらの教会は別の神父が牛耳っている。
先ほどの教会とは違い、ネオゴシック様式の落ち着いたスタイル。
そうだ、わたしがイメージするカトリックの教会は、まさにこれである。
入るとひんやりして、少し暗くて重厚な感じ。
こちらは元々、1900年にプロテスタントの教会として建てられたそう。
1945年まではプロテスタント教会として機能していたが、その後カトリック教会となり、1981年に大規模な内装工事を施した。
街の中心である旧市街は、他の地方都市と特に変わらない。
時々こうしたカラフルな建物もあったりして面白い。
こちらは市庁舎。
シフィエボジンの歴史博物館も併設されている。
戦時品や軍服、女性が使用していた衣装、はたまた、このエリアに生息する動物や植物の紹介、プロイセン領土だった頃の資料なども展示されていた。
入館料とは別に料金が発生するが、市庁舎の塔にものぼれるようになっている。
遠くにキリストの姿を拝むこともできる。
ちなみに塔の屋上までの階段は鳥の羽と糞だらけだった(笑)
そういえば。
シフィエボジンの街外れにはキリストがいるが、街中にも面白い像がある。
ポーランドの歌手チェスワフ・ニエメン(Czesław Niemen)の像だ。
60年代にデビューし、数々の名曲を残した国民的歌手である。
プログレやサイケ・ロック、実験的でアヴァンギャルドな香り漂う曲などもあり、ポーランド国外でも音楽マニアには知られている(と思う)。
彼はもともと1939年に現在のベラルーシで生まれたのだが、1958年に家族でポーランドにやってきた。
そして、各地を転々とし、シフィエボジンにも住んでいたことがあったそうだ。
まだ歌手デビューする前だったため、ここではピアノの調律師として生計をたてていたとか。
おまけ
ぶらぶらしていたら発見した古い建物の可愛い扉。
こんなところに住んでたら、毎日家に帰るのが楽しくなりそう。
【行き方】
ここでは、冒頭で紹介した教会への行き方を紹介する。シフィエボジン駅から歩いて10分。世界一巨大なキリスト像までは南へ800m。街の中心までは1.5kmほどのところにある。ポーランドの首都ワルシャワからシフィエボジンまでは、直通電車あり(所要時間:約5時間半)。
【ウェブサイト】
https://sanktuariumswiebodzin.pl/
【場所】
osiedle Łużyckie 52, 66-200 Świebodzin
(最終訪問:2018年8月)