1万年前~中世までの暮らしが覗ける、古代遺跡ビスクピン【ビスクピン/ポーランド】
ポーランドには、ビスクピン遺跡という、約1万年前~中世までの集落や建物を再現した古代遺跡の野外博物館がある。
ここで発見された青銅器・鉄器時代の集落は、ポーランド国内ではもちろん、ヨーロッパにおける考古学上でも重要なものだそうだ。
日本にいた頃、遺跡発掘現場で半年ほどだがバイトをしていた身としては、いつか訪れたい場所のひとつであり、今年ようやくその夢が叶ったのである。
ビスクピン遺跡は、ポーランド中部のクヤヴィ・ポモージェ県にあり、アクセスが非常に悪い。
我が家からだと、公共交通機関では到達ほぼ不可能そうだったので、おとなしく車で行くことにした。
当日はあいにくの雨で、道中フロントガラスに叩きつける激しい雨に心を砕かれそうになったが、遺跡に着くころには雨脚も弱まりほっと一安心。
敷地内は案外広く、7月上旬、子どもたちの夏休み真っ盛り期だったこともあり、駐車場には遠足用の大型バスも停まっていた。
チケットを買っていざ入場!
木が生い茂ったこの野外博物館の見学は、雨上がりに発生した大量の蚊との戦いでもあった。
入ってすぐは石像エリア。
中世辺りの石像がずらりと並んでいる。
ちなみにすべてレプリカ。
なぜかスラヴ圏外の像まであり、こちらは「日本の庭園ランプ」の名で展示されていた石灯籠らしきもの。
さらに奥へと進むと石棺跡(これもレプリカ)。
かまどの再現。
放牧エリアには馬や羊などがいっぱい。
昔風の厩も。
こんなオシャレなカフェもある。
どうせなら、もっと古代or中世風のカフェにしたらいいのに……というのはわがままだろうか。
ここだけ突然現代風なので、一気に現実に引き戻されるというか、妙に浮いていて雰囲気をぶち壊している気がしなくもない(笑)
敷地内の真ん中辺りには、10~11世紀頃の中世初期の集落を再現したエリアがある。
鍛冶屋の屋内。
お土産として昔のコインのコピーも買える。
パン焼きかまども再現されていて、実際に当時食べられていたであろうパンを焼いていた。
ペイガン好きの心をくすぐる、骨を使ったアクセサリーなども売られている。
この遺跡が発見されたのは1933年。
ビスクピン湖の排水・灌漑工事が行われた結果、湖の水位が下がり、集落の跡が姿を現したのだという。
しかし当時、地元の人たちはその考古学的価値を知らずに遺物を発見していたが、学校の生徒がその旨を教師に話したことにより、集落跡を歴史的発見へと導いた。
かつての遺跡発掘現場の写真も展示されている。
女性はスカートにエプロン姿!
わたしが日本の発掘現場で働いていた時は、Tシャツ、ジャージに長靴、農作業用帽子だった(笑)
小さな舟で、ビスクピン湖クルーズもできる。
この遺跡のメインである約2700年前の青銅器・鉄器時代の集落。
入り口の上にはヤギの頭蓋骨!
異教らしさがあってとても良い。
当時の長屋が2棟再現されている。
実際の集落はこんな姿をしていたらしい。
集落内部から入り口を眺める。
建物の中には入れるようになっていた。
この丸太をそのまま利用したような階段、ずいぶん狭くて急勾配なので、酔っ払ってる時にのぼったら危ないだろうなぁ。
わたしみたいに運動神経の鈍い人間は、素面でものぼるのに勇気がいるが、昔の人はへっちゃらだったのだろうか。
ドライ草花。
集落をぐるっと囲んでいた要塞の一部も復元されており、上にのぼって集落を見下ろすこともできる。
こちらの棟には、主にお土産屋さんが入っていた。
さて、お次は約1万年前、石器時代の頃のお宅。
葦で覆われた、もはやファンタジーみすらある形の住居。
この時代は、狩猟・採集をして暮らしていたらしい。
人がいたのであまり写真に収めることができなかったが、こちらは紀元前6000年前の新石器時代エリア。
この頃はすでに農作物を作るようになっており、農民たちは長屋に住むようになったらしい。
最後に、お土産ショップで買ったトートバッグ。
スラヴの魔女バーバ・ヤガと、集落プリント。
そんなわけで、実に不便な場所にあるものの、のんびり散歩がてら古代の暮らしを垣間見ることができる楽しいスポットであった。
また、季節ごとにキリスト教伝播以前のペイガン的催し事をやったりもしているようなので、そうしたイベントにあわせて訪れるのも面白いかもしれない。
【行き方】
博物館の公式サイトによると、Żnin(ジニン)という最寄りの小さな町からバスが出ているとのこと。もしくはGąsawa(ゴンサヴァ)という村からもバスで行けるらしい。いずれにしてもまずその町やら村に到達すること自体が面倒くさそうである。ポズナンやグニエズノから直通バスが出ているのでは?と思ったが、無さそうだった。公共交通機関利用者にはひどく不便な軽度の秘境に位置している。
【ウェブサイト】
【場所】
(最終訪問:2022年7月)
林の中のほのぼのメタルフェス【フリーザック/ドイツ】
まだ興奮冷めやらぬうちに、ここに記しておきたい。
先日、実に2年半ぶりにブラックメタルのライブに行った。
Under The Black Sun Festival 2022
コロナ発生以降、初のライブ参戦。
ポーランド国内では、最近はコロナ発生前と変わらないくらいライブやフェスティバルが戻ってきているが、なんとなく行く機会を逃していた。
今回、ようやく行ける機会に恵まれたので、ベルリンから西に車で1時間半ほどの町で開催されるフェスティバルの最終日に参加してきたのだ。
(旧東ドイツ地域ということで、このブログの趣旨からは外れていないはず……)
フリーザックは人口2500人ほどの町で、のんびりとした穏やかな風景が広がる。
のどかな景色の中に突然現れるキャンプサイト。
フェスは3日間続く上、まわりには簡単に行ける宿泊施設がないので、キャンプ組も多い。
道路を挟んだすぐ反対側が会場になっているが、キャンプサイトにもお酒などを売るお店があった模様。
キャンプ場の近くには羊みたいな動物がいた。
あまりにものどかである。
こちらが、会場前の道路。
会場入り口。
会場は林のような、木に囲まれた場所にある。
ビールスタンドやフードトラックも出ている。
ビールは1杯(400ml)€4だった。
カップのデポジット代は€1で、カップを返すとデポジット代が返ってくる仕組み。
ちなみにカップはこれ↑
エナジードリンク(€3)もフェス仕様。
メタル系レーベルやアクセサリーショップなども出店していた。
なかなかの賑わい!
実はこのフェスには2017年にも参加したのだが、その時は新しい会場になったばかりで何だかうまくオーガナイズされていない気がしたし、まぁ雨で寒かったこともあり、あまりテンションが上がらなかったのだが……
打って変わって、今年の最終日は晴天で暑くて、いかにも夏フェスらしさが滲み出ていて雰囲気も良かった。
クラッシュしたお尻ポケットをビールホルダー代わりにするお兄さん!これは便利!
会場についたのは夕方頃だったが、この時期のヨーロッパは夜21時過ぎても明るいので、まるで真昼の日差し。
以前から観たかったポーランドのブラックメタルバンド、Odium Humani Generisも観ることができた。
こちらは、ドイツのIllum Adoraというバンド。
初めて聴いたが、なかなかメロディックでカッコいい。
ボーカルが死んだネズミを十字架に磔にしたものをステージに持ち込んでおり、陰でポーランド人たちがぶつくさ言っていた(最終的にネズミを観客に向かって投げたらしい)。
もう数えきれないほど観ているけど何度観ても飽きない、ポーランドのArkona。
そして、一番観たかったジョージア(グルジア)出身のポスト/デプレッシブ・ブラックメタルPsychonaut 4!
このバンド、2017年にポーランドにツアーで来た時に、行く気満々で宿まで予約していたのに、現・旦那の家族が突然ぶっ倒れて物凄い大事になり、泣く泣く行くのを諦めた、そんな思い出深いバンドなのである。
もうね、泣いたよ本当に、あの時は。
そんなわけで、勝手に想いを募らせていたバンドをようやく観ることができ感無量。
彼らの出演は0時過ぎだったのだが、深夜の林の中で聴くデプレは素晴らしかった……
そういえばこのフェス、積極的にデプレ系のバンドを呼んでいるような……?
2017年には、フランスのNocturnal DepressionやデンマークのMake a Change... Kill Yourselfも出ており、他のブラックメタルバンドとは違うステージの雰囲気に圧倒された。
生で観るデプレって、どのバンドも世界観があまりに独特で、ついついステージに見入ってしまう魔力のようなものがある。
最後に少し会場の外の様子も。
フェス会場のまわりは閑静な住宅街。
ブラックメタルの絶叫がノイジーに響き渡り、静けさをぶち破っていた。
これが3日間深夜まで続くなんて、一般人にはあまりに酷じゃないか?と思ったが……
時間は21時過ぎだったと思うが、人が全然いなくて別世界に来た気分。
2年半、ポーランド国外にも出ていなかったので、久しぶりにポーランド語以外の外国語だらけの場所に行けて嬉しい。
たまに耳慣れない言葉が飛び交う場所に行くのは本当に楽しい。
ところで、今回のフェスで驚いたことのひとつ。
全てタイムライン通りに進んだこと。
お目当てのPsychonaut 4が演奏するのが0:10~だったわけだが、きっと押しに押して1:30くらいになるんじゃないだろうか、あー起きてられるかなーなんて不安は杞憂に終わった。
すごい、すごすぎる、驚くくらい時間通りだった。
そして、なんといっても、会場全体がほのぼのした雰囲気に包まれていた。
パッと見た感じ、無理に暴れまわったり、他人に迷惑をかける人もいなかったし、人が多すぎないのでどのバンドも快適に観られた。
ブラックメタル英才教育を受けてきたんだろうなという感じの3歳くらいの子どもが肩車されてメロイックサインを振りかざしていたり、一生懸命ヘドバンする女性を少し離れたところで笑顔で見守る女性がいたり、おじさん同士が肩を組んで仲良くステージを観ていたり、なんだか久しぶりに目にするそんな光景に、つい目頭が熱くなってしまったのである。
メタルフェスといえば、以前紹介したウクライナのこちらのフェスも、かなりほのぼのしていて楽しい。
maniaceasterneurope.hatenablog.com
こんな状況になってしまった今となっては、次はいつ開催されるか分からないけれど、いつか絶対にまた行きたいと思うフェスのひとつだ。
【行き方】
会場はフリーザック(Friesack)という小さな町にある野外イベント会場。会場から4kmほどのところにフリーザック駅があるのだが、調べたところ、ベルリン中央駅からも電車が出ている。停車駅はたったの6駅、しかも50分強で着くようだ。ベルリンから車で行くより早いじゃねーか。今回は、金曜日と土曜日の最終バンド演奏後に、ベルリンのシュパンダウ区行きのシャトルバスが出ていたらしい。なお、会場はもしかしたら突然変わったりするかもしれないので(2017年の時のように……)、行かれる方はぜひこまめにサイトをチェックしてみてください。
【ウェブサイト】
【場所】
Vietznitzer Str. 14, 14662 Friesack, ドイツ
(最終訪問:2022年7月)
キシナウ散歩【キシナウ/モルドバ】
今までに、アクセス糞悪カルトなムードのデコラティブ修道院、見学者がいないと節電で部屋が真っ暗だけど見応えのある軍事博物館、おじいさんの修道士が孤独に修行する絶景岩窟修道院など、モルドバの魅力を自分なりに紹介してきたつもりである。
しかし、モルドバの首都キシナウについてあまり触れていなかったことにふと気付く。
確かに、一国の首都にしてはこぢんまりとしていて、派手な見どころは少ないかもしれない。
それでも!その素朴さとのんびりした雰囲気に、肩ひじ張らずに散策できる魅力がある。
そんなわけで今回は、キシナウのあちこちで撮った写真を紹介していこう。
散歩している気分で見てもらえたら幸いである。
まず、キシナウ名物、勝利の門。
1828~29年に行われた露土戦争でのロシア軍の勝利を記念して、1840年に建てられたものだそう。
サイズはもちろんパリとは比べ物にはならないけれど、このくらいコンパクトで地味な凱旋門だって味わい深いではないか……
キシナウの目抜き通り。
壮麗なファサードの建物はキシナウ市役所。
普段住んでいるポーランドで野良犬を見かけることはめったにないが、EU圏外というか、シェンゲン圏外ではお馴染みの野良犬たち。
街中の野良犬は人慣れしているのかみんな大人しく、突然吠えたり追いかけてきたりはしないタイプだった。
この本は、販売されているのか、ご自由にどうぞなのか……
売り主らしき人も見当たらず。
こういう本は、どうせ読めないのに、つい記念にと欲しくなってしまう。
路上の出店。
こういうお店で共産主義時代の雑貨を漁るのは楽しい。
後ろの柵にピントが合ってしまった店番のおばあちゃん。
わたしがポーランド語を話すと、ロシア語が話せると思ったらしく、途端に笑顔になった可愛いおばあちゃん。
なぜか2人でロシア語で数をかぞえた。
こちらは、本格的なお土産屋さん。
ソ連グッズも売られている。
キシナウにはこの手の建物もいっぱい。
自動車も車道いっぱい!
ちょっとSFっぽい雰囲気の建物。
バスターミナルの待合室。
壁のデザインが素晴らしい!
何でも売っている中央市場。
広い敷地内には、衣料品から日用品まで、様々なものが揃う。
野菜、果物なども売られている。
宗教画のビーズ刺繍。
どうせ刺繍なんてしないのに買ってしまった。
3つ星キシナウホテル。
いや、実はこのブログ記事を書くまで、この建物をキシナウの鉄道駅と勘違いしていた。
キシナウ駅はもう少し先にあるらしい。
道路の反対側に渡るには、地下通路を通らなければいけなかったのだが、この通り崩壊しまくっていて、通路もひとけが無い上に暗くて怖かったのであきらめた。
聖ティロン大聖堂。
水色の外壁に金の屋根が美しい。
正教らしい色彩豊かな内部。
キシナウ滞在中に2回訪れたショッピングモール。
その名もモールドバ。
涙ぐましいオヤジギャグが一周回って可愛く思えてくる。
モールへと続く橋からの景色。
川が流れているのかと思いきや、ただただ民家が並んでいた。
モルドバ国立オペラ・バレエ劇場。
街の中心から少し離れたところには、墓地に隣接した広めの公園がある。
ここでは、第二次世界大戦で戦死したソ連兵を追悼するモニュメントを見ることができる。
第二次世界大戦中、現在のモルドバは、モルダヴィア・ソヴィエト社会主義共和国として枢軸国と戦った。
ここは、事前に調べて行く気満々でいたのに、なんとすでに閉業していた革命パブ。
わたしが訪れる1週間前までは営業していたようなので、なんともタイミングが悪かった。
中心地から外れるともうそこはただの住宅地。
そしてこういう住宅地をブラブラするのが、一番楽しい気がする。
モルドバの伝統料理を出しているSălcioaraというレストラン。
平日の14時頃に行ったせいか、客は自分一人だけ。
にもかかわらず、料理が出てくるまで1時間近く待った記憶がある(笑)
欧州最貧国などとも言われているモルドバだが、首都のキシナウは、ゴチャゴチャと人でごった返す観光地に嫌気がさしている人間には優しい、ゆっくりと時間が流れる都市なのであった。
ウクライナもそんな気がするが、発展の余地がありまくりな国々は、数年もたつとガラッと雰囲気が変わってしまいそう。
モルドバに至っては急激に発展することもなさそうな気がするが、今のうちに訪れることができて良かったと思う。
(最終訪問:2018年9月)
昔の暮らしを垣間見ることができる野外博物館【オフラ/ポーランド】
今回は、ポーランド西部の村にある、野外博物館を紹介しようと思う。
その博物館は、ジェロナ・グラから7キロほど離れた、オフラという地区にある。
17~19世紀の人々の生活を垣間見ることができる民族博物館だ。
入場料は訪れた2021年3月の現時点で10PLN。
コロナ禍の平日ということもあってか見学者はほぼいなかったが、駐車場は観光バスが停まれるくらいに広く、学校の遠足などでも利用されそうな場所だった。
まずは入り口付近の小さなオフィスでチケットを買う。
オフィスの近くに木彫刻エリアがあり、個性的な像たちがお出迎えしてくれる。
荒削りな死神。
4世紀のミラノの司教アンブロジウス(存じ上げなかったので普通にWikiった)。
物思いにふけるキリスト。
くたびれた様子のおっさん三人組。
彼らも聖人かもしれないけど、妙な哀愁を漂わせていてスルーできなかった。
さらに先に進むと、古い家々を見学できるエリアに入る。
この博物館に展示されている建物は、実際に使用されていたもので、全てポーランド西部の各地域からそのまま移されてきたものだそうだ。
この建物は17世紀のもので、天井がとても低い。
寝室の様子を見ただけでも、天井の低さが伝わるのではないだろうか。
なんというか、なかなかの圧迫感である。
こちらはキッチン。
ここはリビングだろうか。
ところで、わたしはなぜか勝手に、昔の家の天井が低いのは日本だけかと思っていた。
そして、天井が低い理由は、当時の人々の身長が現代人より低かったからだと思っていたのだが、部屋をすぐに暖めるためなどの理由もあったんだろうなぁ。
漆喰で固められた白い壁も良いが、木のままの壁もクラシカルな雰囲気で素敵。
が、ここで数軒の屋内に入ってみて、実際に住んだら寒そうだなぁと感じた。
家の向きなどもあるのだろうが、どうも、どの家屋も日が差し込まないような気がする。
単純に窓が小さい&少ないからだろうか?
特に今、自分はかなり陽当たりの良い南向きの物件に住んでいるので余計そう感じるのかもしれない……
とにかく、まだまだ寒い春先ということもあって、見学中は寒さが身に沁みた。
この博物館には約80もの建造物、1万を超える展示品が常設されているらしい。
……建物、80軒もあったかな?
ひとくちにポーランド西部とはいえ、家の作りなどは、地域によってそれぞれ違いがあるそうだ。
あと、この敷地内で普通に暮らしている住民がいるというのも面白い。
もしかしたらだけど、自転車を漕いでいたこのおじさんもここの住民なのではないかな。
古い井戸。
第二次世界大戦辺りが舞台の映画を観ていると、確かにこんな井戸が出てくる。
この建物が何だったかは忘れてしまったが、敷地内には学校(だった建物)もあった。
タワー式鳩小屋。
置物かと思いきや、実物だった羊。
藁ぶき屋根の建物は、ぱっと見、日本昔話の世界にも見える。
これは霊柩車だったはず。
敷地内では猫の姿も見かけた。
飼いならされていそう。
最後は、仏頂面のおばちゃん木像。
ところで、この博物館に行った時のことをツイートしたら、「映画『炎628』に出てきた民家にそっくり」と引用ツイートしてくださった方がいらした。
大変に不適切な感想ですが、映画「炎628」に出てきたベラルーシ民家に雰囲気とか間取りがそっくりで、「おお、あれはやはりリアルだったんだな」と思ってしまいました(すみません……)https://t.co/g5DpIDixZu
— 内田弘樹@冬コミ2日目東“ラ27a”「プロイェクト・オスト」 新刊3〜4種予定 (@uchidahiroki) 2021年3月3日
確かに、あの映画で主人公の男の子が住んでいた村の家も、木造で家の中がどことなく暗くてこんな作りだったなぁと頭を縦に振って納得。
民族博物館の写真でまさかの『炎628』を連想する方がいらっしゃるTwitterはやっぱり面白いな、と思いました。
【行き方】
ジェロナ・グラ(Zielona Góra)駅近くから出ている27A番、もしくは27B番のバスで約30分。最寄りのバス停は「Ochla Skansen(オフラ・スカンセン)」。
【ウェブサイト】
【場所】
(最終訪問:2021年3月)
かつての賑わいは遠い彼方へ……ゴーストタウンと化したウエスタン村【コシン/ポーランド】
ウエスタン村。
この言葉を聞くと、2006年に休園になったまま放置され続けている、日光のウエスタン村が頭に浮かぶ。
行ったことはなくても、廃墟好きなら気になる場所のひとつではないだろうか。
ポーランド西部のコシン(kosin)という人口数百人の村に、廃墟として今なお残っている。
実に辺鄙な場所に位置しており、電車やバスのアクセスもない。
最寄りの大きい都市はポズナンだが、そこからも車以外のアクセスは不可能な模様。
非常に静かな、正直に言ってしまうと、かなり裏寂しい場所にぽつんとある廃墟だ。
入り口付近のこの建物は、門衛小屋だろうか。
敷地内に入って右手には、木造の小屋が何棟か並んでいる。
このウエスタン村は、西部劇の舞台のような気分が味わえるテーマパークとして、2002年にオープンした。
敷地内には、ホテル、レストランのみならず、郵便局や銀行、保安官事務所といった建物も再現されていた。
また、当時は70頭もの馬を飼育し、ミニ動物園も併設されていたそうだ。
夏場にはインターンシップの学生を数十人受け入れることもあったとか。
時には乗馬イベントなどが開催され、カントリー音楽の歌手が演奏することもあった。
しかし、財政難に陥り、夜逃げ的な感じで2014年に閉業。
今はワイルドにも程がある廃ウエスタン村となってしまった。
その後、何度も売りに出されはしたものの、あまりにも高価すぎて全く買い手が付かず今に至る。
さらに、倒産前に働いていた従業員の何名かは、数か月分の給料をいまだに受け取っていないらしい。
今や、近隣住民から「ゴーストタウン」と呼ばれている始末。
閉鎖から7年たった今、木造の建物はだいぶ老朽化が進んでいる。
とはいえ、おそらく県内唯一のテーマパーク系廃墟ということもあり、ここを訪れる廃墟好きも多い。
木造ではない立派なつくりの建物も残っている。
訪れたのは5月上旬。
まだ春らしい花が咲いていた。
ドアも完全に外れ、家具なども外に引っ張り出されている。
受付があったであろうメインの建物。
内部は荒らされており、これといった残留物がない状態。
壁に描かれたスケッチのような絵は元からあったものだろうか。
動物小屋か納屋のような雰囲気の煉瓦作りの建物。
この二階部分には元々バルコニーでもあったのだろうか。
すっかり色あせてしまった入り口の看板。
乗馬はもちろん、近くの川でカヤックに乗ることもできたそうだ。
金曜日は20時からディスコ、の文字も悲しくくすんでいる……
近隣住民の一人は、とあるメディアのインタビューでこう答えている。
「巨大な廃墟になってしまったけど、小さい頃によく遊びに来ていた思い出の場所。
馬やアトラクションを見ては喜んでいたよ。
今や、夕方に強い風が吹こうもんなら、木のきしむ音が聴こえてくる。
もう空っぽで誰もいないけど、この場所は自分なりに生きているんだなって気がする」
【行き方】
一番近い大都市はポズナンだが、それでも120kmほど離れている。大都市ではないが、ルブシュ県の県都ゴジュフ・ヴィエルコポルスキからは80kmほど。いずれにしても車がないと到達不可能。
【場所】
66-530 Kosin
(最終訪問:2021年5月)
マフィアが闇取引していそうな港のライブハウス【グダンスク/ポーランド】
ポーランド北部に位置し、観光地としても人気の都市、グダンスク(Gdańsk)。
バルト海に面し、古くは自由都市として繁栄し、1980年代には民主化運動を率いた「連帯」が生まれた地でもある。
そんな歴史ある港湾都市グダンスクでは、実に素敵な場所にライブハウスを見つけることができる。
そのライブハウスは、造船所の隣にあるのだ。
ひと気がなくて、一人で歩くのは少し躊躇するような雰囲気だけど。
街中からライブハウスまでの道のりもなかなか良い。
王冠に2つの十字架が描かれた盾のような落書きは、グダンスクの紋章。
夜の一人歩きは絶対にNGな気がする裏通り。
造船所に近づくにつれてクレーンが見えてくる。
海なし県で生まれ、現在も海から離れた場所に住んでいるわたしとしては、非日常的な光景に胸が高鳴る。
夜になったらマフィアが闇の取引をしていそう。
廃墟のように見えるけれど、一部はテナントが入って現役で使われていた。
煉瓦作りの建物が良い感じ。
こちらはボクシングクラブとして使われている建物。
カラフルなコンテナたち。
そして、こちらがお目当てのライブハウスの外観。
すぐ隣にはクレーンが林立している。
中の様子。
メタル系だけではなく、ヒップホップやクラブミュージック系のライブもやっている箱だった。
この日は、ウクライナを代表するペイガン・フォーク・ブラックメタルNokturnal Mortumがやってくるということで、電車で何時間もかけてグダンスクまでやってきた。
Nokturnal Mortumの前に演奏していたのは、ポーランドのペイガン・ブラックメタルBiały Viteź。
メンバーは鎧のような衣装に身を包み、角笛を吹いてみたりと、本格的なペイガンメタル。
サウンドチェック中のNokturnal Mortum。
動物の骨付きマイクなど、ペイガズムの自然崇拝的な面を意識したようなステージング。
Nokturnal Mortumに関してはこちらの記事もどうぞ。
maniaceasterneurope.hatenablog.com
さてさて、観光客で賑わうグダンスクの旧市街の写真も載せておこう。
ディズニーシーかよ、とツッコみたくなるくらいに華やか。
先ほどの造船所近辺とは全く違う陽気なムード。
絵本の中に迷い込んだような可愛い街並みも良いけど、やっぱりわたしはひと気のない造船所近辺の雰囲気が好きかな。
【行き方】
当記事で紹介したライブハウス「Protokultura」は、残念ながらすでに閉業してしまった。が、すぐ近くに「B90」というライブハウスもあり、こちらでもよくメタル系のバンドがライブを行っている。わたしは未訪だが、そちらの地図を載せておこうと思う。グダンスク中央駅から2kmくらい北上した場所にある。ここも間違いなく港の雰囲気が味わえそうなライブハウス。
【ウェブサイト】
【場所】
Elektryków, 80-980 Gdańsk
(最終訪問:2018年4月)
世界中の悪魔が大集結する博物館【カウナス/リトアニア】
リトアニア第二の都市カウナスには、「悪魔博物館」なるものが存在する。
ブラックメタル好きとしては、こうしたダークなモチーフの博物館が気になって仕方ない。
ということで、以前こちらのブログでも紹介したリトアニアの十字架の丘に行ったついでに、カウナスの悪魔博物館にも訪れることにした。
maniaceasterneurope.hatenablog.com
こちらが悪魔博物館の外観。
窓には妙にコミカルな悪魔が4匹。
日本の鬼らしきものもいる。
さて、この博物館、どうもチケットがだいぶ安かった記憶があるのだが、値段をすっかり忘れてしまったので当時の日記を見てみた。
しっかりチケット価格が記されていたのだが……
なんとたったの€1.74……!
実に破格である。
それでは、館内の悪魔を何匹か紹介しよう。
木製の異様に不気味な悪魔。
階段にも絵が飾られていて、まさに所狭しと悪魔に関するものが展示されている。
うんこ座り。
可愛い。
おしまい。
これだけしか写真ないのかよ!と自分でもツッコんでしまったが、当時はブログに載せる予定もなかったし、ほんの数枚しか撮らなかったようだ。
ところでこの博物館は、芸術家アンタナス・ジュムイジナヴィチウスの悪魔コレクションから始まったとのこと。
彼の死後、彼の家に博物館が設立された。
その後、ここを訪れる訪問者たちが悪魔グッズを寄付し始めるようになり、建物も拡張、3000点ものアイテムが展示されているとか。
うろ覚えだが、建物も確か3階か4階建てだったと思う。
ここからはオマケ。
カウナスのあちこちで撮った写真を載せていこう。
カウナスの鉄道駅。
ベラルーシからリトアニアを通ってバルト海へと流れるネマン川。
川の中州は公園になっていた。
天気が良ければ川沿いの散歩も楽しそうだが、悪天候のせいで荒んだ景色になってしまった。
川沿いを歩いていたら発見した堂々たる廃墟。
と思ったが、こちら建設途中の建物だったらしい。
2021年現在はどうやらガラス張りの立派なオフィスビルになっている。
さらに近づいて撮ってみた。
悪魔博物館からそう遠くない場所にある教会。
距離的には1kmほどなのだが、小高い丘のようなところにあるため、寒い中荷物を抱えて坂道をのぼるのがだいぶキツかった記憶しかない。
カウナス城にも行ってみた。
入場料をケチったのか、中には入らなかったんだよなぁ。
しかし、リトアニアのトイレの照明が青いのには驚いた。
ここ、クラブやバーなどではない。
確か、駅だかどこかのトイレだった気がする。
リトアニアは世界の中でも自殺率の高い国と言われているが、青い照明には心を和らげる効果があると言われている。
が、トイレの照明が青い理由は単に自殺を防ぐためではなく、青い照明で静脈が見えづらくなるため、トイレでコソコソ隠れてドラッグを使うことを防ぐためらしい。
いずれにしても理由に闇を感じて怖い。
【行き方】
悪魔博物館はカウナスの鉄道駅から約2.7km。徒歩でも行ける距離だが、バスやトロリーバスで近くまで行くこともできる。
【ウェブサイト】
【場所】
V. Putvinskio g. 64, Kaunas 44211 リトアニア
(最終訪問:2015年3月)